部屋から出て階段を降りていく。
「あれ?薫!どこ行くの?」
優が俺の方に来た。
「ちょっと出かけてくる。」
「その体で?!」
俺が言うと、優は驚いていた。
「体は大丈夫だ。少し出かけてくるだけだからすぐ戻る。」
そう言って、階段を降りていった。
ブーツを履いて外に出ると、丁度よく庭で盆栽をいじっている十郎見つけた。
「あんた…魔具屋を知ってるんだろ?場所を教えてくれないか。」
十郎は俺を見て、旅館の中に入った。
しばらくすると戻ってきて、十郎が俺の方に近付いてきた。
「地図じゃ。これに従って行きなさい。」
魔具屋までの地図を俺に渡した。
「ありがとう。」
お礼を言って、魔具屋に向かった。
―魔具屋―
地図に従って向かうと、行き着いたのは木造の古い店。
看板も見当たらないけど、ここで大丈夫なのかよ。
地図を見るが、どうやら間違いないみたいだ。
恐る恐るドアを開けて中に入った。
何だここ。
胡散臭い商品ばっか…。
黒魔術の道具等が棚に並んでいる。
カウンターを見ると、店主らしき人が寝ていた。
まぁ、聞いてみるか。
俺はカウンターを蹴って店主を起こし、胸ぐらを掴んだ。
「な…何…?」
「あんた…契約者って知ってるか?」
店主を睨みつけて聞いた。
「……ふ~ん…。何となくは気配で気付いてたけど、悪魔の契約者か。だけど…悪魔の方はそっぽ向いてる感じだね。」
見ただけでそこまで分かるか…。
俺は胸ぐらから手を離した。
「契約者が来るのは初めてだよ。俺は和志。君は?」
「薫…。」
俺がそう言うと、和志はタバコをくわえて火をつけた。