ん…う…うん…。
目を開けると、旅館の天井が目に入った。
「薫さん…?薫さん…よかった…!」
麗羅が俺の顔を覗き、涙を流した。
「…どうした…?」
俺は心配になって言った。
「薫さん…仕事に…行った日に運ばれてきて…3日も意識が‥戻らなかったから…。血だらけだったし…心配だったんですよ…?」
そうか…。
俺は雪の女神を始末しに行って…。
麗羅はずっと泣いていた。
「心配かけてごめんな?もう大丈夫だから…。そんなに泣くな…女が泣いてる時にどうすればいいかわかんないんだ。」
起き上がってそう言うと、麗羅は涙を拭いた。
「ごめんなさい…!あっ…優さん呼んできますね…!」
麗羅はそそくさと部屋を出て行った。
アビル…!
心の中で呼ぶが反応がない。
こいつ…ふてくされやがったか…。
このままじゃダメだ…。
俺は…一体どうすれば…。
……魔具屋……。
麗羅が言っていた言葉を思い出した。
あいつら…そういえば妙な力を使ってたよな。
契約者でもないのに…あんな芸当できる訳がない。
もしかして…麗羅の言っていた魔具屋で買っていたとしたら…
そこの店主は契約者…もしくは悪魔や天使の力を知っている奴だ。
アビルがこうなってる今…賭けてみるのもありかもな。
俺は立ち上がって、服を着替え始めた。
自分の力を知らないと…これ以上強くなれない…。
アビルの力なしでも…俺は桜の為に頑張らないといけないんだ。
服を着替えて、部屋から出た。