「ハハッ!!」


晴は周りを早く動き回っている。



何してんだろ?


全部見えてるのに。



後ろから晴が殴りかかる。


俺はしゃがんで避けて晴の背中を踏みつけた。


「無駄だよ。俺には君の動き全部見えてるから。」


「ちくしょう!なかなかやるね!」


俺の足を蹴って転かし、晴は両腕を出した。


何かする?


両腕のブレスレットが光り、晴の両腕に赤く燃える鉤爪がついた。



「行くよ?」


晴はまた俺に向かってくる。



何回やっても俺には無駄なのに…。




ビクッ…!


背筋がゾッとする感覚がした。


何…これ…?



「もらった~!!」


俺は晴の腕を掴み、一本背負いをした。


「ちょっと静かにしてろや。さっきからうるさいんだよ。」


ふと薫を見ると、その体は漆黒に染まっている。



羽と鋭い爪が生え、腕には普段より大きな黒い鎌が生えている。



デスアビル…?


でも…そんな気配はない…。



『「がぁぁぁ~~~~~っ!!!!!」』


耳をつんざくような叫び声を上げ、さっきの女の子の方に向かっていく。



「やめろ~~!!」


俺の手を離れ、晴は薫に向かっていく。



晴が蹴りかかると、薫はすぐに振り向いて晴の足を掴んで地面に叩きつけた。



『「…シ…ネ…」』


手を上げると、紅堕羅を出した。



紅堕羅はマズい!!!



「フレアランス!!」


炎の槍が薫に向かっていく。


薫はすぐに気付いて、紅堕羅を振って全部防いだ。



俺はその間に薫の方に向かう。



「炎蛇双頭(えんじゃそうとう)!!」


炎の力が詰まり、蛇をモチーフにした曲線を描く双剣を出した。


薫は晴に向かって紅堕羅を振り下ろす。



ガキンッ…!!


紅堕羅を何とか受け止めた。