タバコをくわえて火をつける。


煙を吐き、一服を始めた。


何だったんだあいつ。



あんな相手初めてだ。


―『いいじゃないか。なかなかおいしかったぞ。』―



そういう問題じゃねぇっての。


気楽でいいよな…お前。



「薫!大丈夫?!」


優と理恵が俺の方に来る。


「大丈夫だよ。かすり傷だ。」


煙を吐いて腹を抑えた。


「でも…血が…!」


理恵は俺の腹を指差す。


「ほっとけば治る。」


闇が腹を包み込み、闇が晴れると傷が塞がっていた。


「えっ?!」


「俺の悪魔が俺の命を維持する為の防衛本能さ。細胞を引っ付けて傷を塞いだんだ。暴れればまた傷が開くがな。」


「ふ‥不思議だね。」


理恵は俺を見て少し怖そうな顔をする。


「怖いか?俺が。」


そう言ってタバコを吸う。


「えっ…いや…」



「いいよ。正直に言って。俺も自分が怖いさ。」


タバコを足で揉み消して、立ち上がった。

「さっさと終わらせるか。フロッピー始末して早く帰るぞ。」



俺は組長室に向かった。