コンコンッ…。
ノックの音が聞こえ、ドアの方を見る。
しばらくすると麗羅が入ってきて、俺の方に来て、コーヒーとチョコレートを机に置いた。
「考え事をしてるなら…少し頭を休めることも必要ですよ?お食事の方はまだかかりますのでお茶にしましょう。甘い物は頭をリフレッシュしてくれますから!」
麗羅は俺の方を見て微笑んだ。
「立ちっぱなしじゃ疲れるだろ?気になるからそこに座れよ。」
向かい側のソファーを指差した。
「いや…!い…いいですよ…!私お食事の用意もありますし!」
顔を真っ赤にして、首を横に振っていた。
この部屋暑かったか?
あぁ…着物着てるから暑いのか。
「そうか?嫌ならいい。引き止めて悪かったな。」
そう言って、タバコをくわえて火をつけた。
「嫌じゃないんですが…その…男の人とあまり話したことがないから緊張して…!」
麗羅は恥ずかしそうに言った。
「あぁ…わざわざ気遣ってくれてありがとうな。助かったよ。」
俺がそう言うと、麗羅は頭を下げて部屋から出ていった。
コーヒーを一口飲み、チョコレートの包み紙を剥がした。
久しぶりに食べるな…チョコレートなんて…。
チョコレートを一口かじった。
甘くてちょっと苦い味が口の中に広がった。
ビターか。
コーヒーによく合うな。
俺はコーヒーを飲んで、景色を見た。
時間がゆっくり流れてる。
扇杜に居る間は…こんなに落ち着いたことないもんな。
いつも何かしろ考えてたから…たまにはいいものだ。