市場で色々買って、俺達は旅館に戻ってきた。
「重かった~…。薫も少しは持ってよ…。」
買った物を床に降ろして言った。
「誰が金払ったんだよ。」
俺はブーツを脱ぎながら言った。
「わぁ!こんなに買ったんですか?」
麗羅が俺達の所に来て、驚いていた。
「お腹空きましたよね?どういう調理法がいいですか?」
「優、お前に任せた。一宿一飯の恩義だ。しっかり手伝えよ?」
俺は優の肩を叩いて、部屋に戻ろうとした。
「薫は?」
振り返って優の方を向いた。
「明日のことを考える。仕事はさっさと終わらせて…こんなクソ寒い所おさらばしたいんだよ。」
そう言って、部屋に戻った。
カバンの中から米にもらった情報を出して、窓際のソファーに座った。
赤坂 統。
鳴海に雪像を買い取りたいとしつこく迫ってくる男。
こいつが何か仕掛けてくるか…あるいはもう何か仕掛けてるか…。
明日…雪像までたどり着けたら失敗はない。
そうだ。
仕掛けようがないんだ。
雪像は鳴海が作った作品。
この赤坂 統が何か仕掛けれる訳がない。
それに…何か仕掛けるならとっくにそうしてるはずだ。
考えすぎか…。
だが…雪像が特殊なのはわかる…。
俺達の噂を聞いて依頼したなら、依頼料が高すぎる。
最初に提示した値段は600万…。
その値段はあいつがバカなのか…
それとも…この依頼が大変なのを示しているのか…。
―『考えてもしょうがないんじゃないか?それに…お前が契約してるのはこの俺様だ。心配はないだろう?』―
アビルが言った。
その契約主は…一度失敗してるんだぞ?
お前が強いのはわかるが…俺は弱い。
だから考えるんだよ。
―『おもしろくないこと言うようになったな~…。まぁ、じっくり考えろ。』―
微妙な反応をするアビル。
何か…素っ気ないなこいつ…。