始末屋


そういえば依頼って何だろう?


こんな有名な奴がわざわざ裏稼業の俺達に何の用があるんだ?



「実は…雪の女神の始末をお願いしたいんです。」



「「「えぇっ?!」」」



俺達は揃って同じ反応をした。



「また何で…あの代表作を?」


理恵が鳴海に恐る恐る聞いた。


「雪の女神は…3年前に僕が作った作品です。それから作り直しも…冷凍保存など一切してません。それなのにあの状態を保ったままなんです。」


3年前に作った状態がそのままの形状を保ってる?


それも…保存作業を一切しないで?


「どんなことをしても壊れないし…溶けないんです…。火の中に入れても…高い場所から落としても…。」



どんな雪像だよ。


俺は煙を吐いて、灰皿に押し当てて火を消した。



「でも…何でわざわざ始末するんだ?雪の女神さえあればずっと食いっぱぐれることもないんだぞ?」


「雪像というのは…季節限定の美しさなんです。僕はその一瞬の美の為に雪像作りに励んでいました。…雪の女神は僕の求める作品ではないです。

それに…あの作品を買い取りたいと数多くの著名人の方が名乗り出てるし…その反響の多さに正直怖くなってしまって…。

僕の作品は誰にも渡したくないんです。皆が気軽に見れて…皆に美しさを共感してほしい。それを1人の物だけにはしたくないんです。」



一瞬の美…。


その為に地位も名声も捨てるのか。


相当変わってるな…。



「まぁ、少々気が引けるが…たかが雪像一体ぶっ壊すだけだ。引き受けてやる。それで…依頼料は?」


鳴海は小切手を出し、サラサラと書き始めた。


それを一枚千切って、俺に渡した。


「前金っていうのがいるんですよね?」



前金って…。


小切手には300万と書いてある。



「成功すれば更に300万支払います。やってくれますか?」


俺は小切手を鳴海の目の前で破った。