始末屋

―次の日―



「……おる!薫!起きなさい!」


んぁ…。


理恵の声で目が覚めた。


…無事にアジトに帰りついてたのか…。


頭痛いな~…。


頭を抑えて立ち上がった。



「薫!依頼人よ!あぁ…お酒臭いしタバコ臭いな~もうっ!」


いつにも増して理恵がイライラしている感じがする。


「どうした?」


俺が聞くと、理恵の動きが止まった。


「昨日の深夜いきなり裏扇杜のBARから電話あって、あんたここまで連れてきたのよ?いい加減2人共携帯買いなさいよ!」


ダメだ…全然思い出せない…。


結構飲んだもんな~…。


「それより!依頼人よ!」



あぁ…そうだった…。


下に降りてシャワーを浴び、顔を洗って歯を磨いた。


まだ酒臭いな……。


また部屋に戻り、口臭を消す為にガムを食べた。



さっきよりかはマシか…。


下に降りて依頼人の居るリビングに向かった。


「薫遅いよ~」


優が言った。


俺は優の隣に座り、依頼人の顔を見た。



「あんた…田坂 鳴海?」


まさに昨日話していた田坂 鳴海だった。


「はい。実は…少しお願いがありまして参りました。」


マスターの話って意外に信用できるんだな~。


しみじみそう思っていた。


「びっくりしましたよ!あの田坂 鳴海さんがこんな汚い所に来るなんて!本当に大ファンなんですよ!今年も展覧会行きましたよ!どれもこれも素晴らしい作品で感激しました!!」


理恵が俺達の間から顔を出して言った。


汚い所は余計だっての。


「そう言ってもらえると…来年も頑張ろうって思えます!最近は1つの作品しか注目されませんから…」


鳴海は悲しげに言った。


『雪の女神』のことか。


「そういえば…雪の女神って作品であんた有名になったんだっけ?俺はテレビでしか見てないが不思議な作品だな…初めて雪像に見とれてしまったよ。」


タバコをくわえて火をつけた。


「ありがとうございます。……早速依頼の話をしてもよろしいですか?」