「じゃあ…今日はありがとう!またいつかね?絶対だよ?」
愛ちゃんは笑って言った。
俺は…不安だった…。
自分の仕事が…いつ死に直面するかもわかんない物だから…。
愛ちゃんはそんな俺の手を握った。
「優が普通の人とは違うのは何となく気付いてた…。でも…私からしたら…とっても優しい人だから!そんな不安な顔しないで?嘘でも…守る気なんかなくても…笑って約束してくれないと…離れられないよ…」
涙を流しながら愛ちゃんが言った。
俺はそれを見て、自分の仕事のことなんかどうでもよくなった。
「守る!俺…始末屋って仕事してて…正直化け物みたいな奴と戦ったりするのが多いんだ。でも…愛ちゃんが泣いてるの見たら…絶対生き残るって目標ができた!ありがとう!」
愛ちゃんは俺に抱きついた。
「約束だよ…?」
「うん!約束!」
―――――――――――――
「た…ただいま~…。」
パコッ!
何かが飛んできて、額に当たった。
タバコの箱…?
「お前…どこ行ってたんだ?言ったよな?依頼人が来られても困るから、俺が起きるまで居ろって。」
薫が少し笑いながら近付いてきた。
こ…怖い…!
「ごめんなさい!たまにはいいかなって思って…」
そう言うと、薫は俺の頭を軽く叩いた。
「仕事に休みはねぇ。」
薫はそう言ってソファーに座った。
「薫…今日変なんだ…。涼風さんや理恵ちゃんと会った時とは違って…胸が痛んだんだ。これって何?」
俺がそう言うと、薫は笑った。
「恋でもしたか?だから今日居なかったわけね。」
恋…。
こんなに痛いものなんだ…。
俺はまた1つ勉強した気がした。
優の扇杜案内
―完―