始末屋


「次はどこに行く?」


愛ちゃんに聞くと、プリクラ機を指差した。


「思い出に残したいの…。優と今日居たこと…。」



恥ずかしそうに愛ちゃんは言った。


俺プリクラって撮ったことないんだよな~…。


でも…愛ちゃんは10年振りに外に出てきてるから、俺ができることは全て叶えてあげたい…。


「俺も初めて撮るんだけど…それでいいなら…。」



そう言うと、愛ちゃんは笑ってくれた。



プリクラ機の中に入って、ピースをして撮ったり、少しだけ近付いて撮ったりしていた。


プリクラが出てくると、愛ちゃんは嬉しそうにプリクラを見ていた。



「嬉しい?」


「うん!ありがとう優!でも…優にはいっぱいしてもらってばかりだね。」



愛ちゃんはうつむいた。


俺は愛ちゃんの頭を撫でた。


「気にしなくていいよ!俺もいっぱいしてもらってるから!」


笑ってそう言うと、愛ちゃんは不思議そうな顔をした。


「私何もしてないよ?」



「いや…俺昔から裏扇杜に居たからこんな風に女の子と普通に過ごしたことないんだよね。だから、愛ちゃんの表情見てるだけで俺も楽しいんだ!」



俺がそう言うと、愛ちゃんは嬉しそうにしていた。


こんなありふれた言葉だけで…愛ちゃんはこんなに嬉しそうにしてくれる。


それだけで充分だった。



そうだ!


愛ちゃんをあの場所に連れて行こう!



「愛ちゃん!今日のお礼に最後にとっておきの場所に連れて行ってあげる!」



「最後…」


愛ちゃんは浮かない顔をした。


俺はそれほど気にせずに、ショッピングモールを出て裏扇杜に向かった。