女の子の突然の発言にびっくりしてしまった。
外に出たことないって…何かの病気だったとかかな?
「すいません…!ダメ…ですよね…。」
女の子がうつむいて言った。
女の子のこういう顔苦手なんだよな~…。
「俺の知ってる場所とかでよかったら…いいよ?」
帰ったら薫に絶対怒られる…。
そう思いながらも承諾した。
「本当ですか?ありがとうございます!」
また女の子は深々と頭を下げた。
「全然いいから頭上げて!俺は優!君は?」
「愛(あい)です!」
その後、俺は愛ちゃんを連れて表の町に出た。
愛ちゃんはよっぽどこの景色が珍しいのかキョロキョロしている。
「そんなに珍しい?」
「はい!私…こういうお出かけするの10年振りくらいなんで!」
10年振り…?!
10年も外出なかったってこと?!
俺なら絶対死んじゃうな…。
「優さんはいろんな所に行くんですか?」
愛ちゃんが俺を見て聞いた。
「基本的には裏扇杜に居るかな…。でも仕事で色んな所に行くよ!それでも隣の深奈多や…たまに他の県に行ったりするくらいかな!」
そう言うと、愛ちゃんは目を輝かせていた。
「いいですね!お仕事は何をされてるんですか?」
純粋な顔をして愛ちゃんが聞く。
言えない…。
依頼によっては人殺したりする職業なんて…。
「まぁ、裏扇杜に居るくらいだから…真面目な仕事ではないよ。」
「すいません…変なこと聞いちゃって…。」
愛ちゃんは悲しげな顔をした。
「いいよ!誰だって気になると思うし…。でも…胸張って言える仕事ではないけど…信じてる相棒とやってる仕事だから楽しいかな!相棒はちょっと怖いけどね…でもすごく優しい人だから。」
そう言うと、愛ちゃんは微笑んだ。
「優さんの話聞いてると…何だか私まで心が温まります。相棒さんのこと大好きなんですね!」
大好きって言ったら変になるか…。
薫男だしね。
