アジトに戻って、ドアを開けた。
パンッ!
「「誕生日おめでと~う!!」」
クラッカーの音がして、優と理恵の声が聞こえた。
「何だよ。」
俺はソファーに荷物を置いて言った。
「今日薫誕生日だよ!」
優が言った。
よく見れば、部屋は飾り付けがしてある。
今日…10月10日か。
「だから無理矢理外に出したのか?」
タバコをくわえて火をつけた。
「そうだよ!薫が居たんじゃサプライズにならないし!理恵ちゃんも仕事終わりに来てくれたんだよ!」
わざわざこんなことしなくていいのに。
「はい!プレゼント!」
理恵は俺にリボンのついた袋を渡した。
「何だ?開けてもいいか?」
「いいよ!」
袋を丁寧に開けると、中には鍔がついた黒いニット帽が入っていた。
ニット帽にはラインストーンで骸骨が施されている。
「優が薫は寒がりだからって言ってたからそれにしたの!気に入った?」
理恵は俺の顔を覗き込んで言った。
「あぁ…気に入った。ありがとな。」
「次は俺!」
優は丁寧に包装された小さな箱を俺の前に出した。
「これは?」
「開けてみればわかるよ!」
箱の包装を丁寧に剥がしていった。
箱を開けると、三日月に乗るトランプのジョーカーのような生き物が掘ってあるジッポが入っていた。
「薫をイメージした特注品だよ!タバコばっかり吸うからそういうのがいいでしょ?」
へぇ~…。
結構センスあるんだ。
「優…ありがとな。」
俺がそう言うと、優は笑った。
俺もそれを見て笑った。
「薫がそんな風に笑ったの初めて見た…」
理恵が俺に言った。
「失礼な。俺だって…たまには笑うさ。
ありがとな。久しぶりに楽しい誕生日を過ごせたよ。」
俺がそう言うと、2人共嬉しそうな顔をした。
