始末屋


「あっ!じゃあ…これ!」


女は携帯のストラップを外して、俺に差し出した。



よくわからないキャラクターの古い感じの、ストラップだった。



「私…このキャラクター好きでずっとつけてたんですけど…これあげます!」


激しくいらない…。


これならネックレスの方がマシだ…。



「いや…本当に気にするな。余計な荷物が減って助かったのはこっちだから…」



「そう…ですよね…。こんなよくわからないストラップなんか…」


女はうつむいて言った。



あぁ…めんどくさい……。



「わかった…。もらっとくよ。」


俺はストラップを受け取った。



「ありがとうございました。扇杜にあなたみたいな優しい人が居ると思いませんでした。

またどこかで会えたら、次は私があなたにお礼します!」



女はそう言って、深く頭を下げた。



「人に感謝される程…優しい人間でもねぇから気にするな。」


俺はそう言って、また歩き始めた。



「ありがとうございました~!!」


女の声が響き渡る。


気にすんなって言ってるのに…。


本当めんどくさい…。












ショッピングモールを出て、裏扇杜に帰っていた。


これ…どうしよう…。


俺はさっきのストラップを見ていた。



さっきネックレスあげなかったら…結構な金になってただろうな…。


もったいないことした。



でも…捨てるのもな~…。


ふと顔を上げると、『何でも買います!』と書いてある看板が見えた。



これ…何かのキャラクターのストラップだったっけ?



まぁ、俺がここで捨てるより…欲しい奴の手元に行った方がいいだろうな…。



俺はその店に入った。