始末屋


ショッピングモールに着いて、真っ先に優の服を選びに行った。



何買えばいいだろう…。



とりあえず、あいつが好きそうな物でも買っとくか。



色々回って店員に聞き、今年流行っているコートやTシャツをいくつか買った。



俺はどうしようかな…。


また別の機会に買うか…。



いや‥またこれから寒くなるから俺も買っておこう。



それから俺は自分の好みの服を買って、帰り始めた。




結構買ったな~…。


両手に荷物を抱えて帰っていた。



すると、ベンチに座って溜め息を吐いているドレスを持っている女性が目についた。


何だ…?


俺はさほど気にせずに前を通り過ぎた。



「うっ…!うぅ~…!うわぁ~ん!」


女性は俺が通り過ぎた途端に大きな声で泣きだした。



その場に居る人達が一斉に俺を見た。


えっ?


いや…俺は何も……。



泣き止むこともなく泣いてる女性。



皆の視線は外されることなく俺に向いていた。



「はぁ…。どうした?何かあったのか?」


俺は仕方なく女性に聞いた。



「うぅ…!カバン…置いてジュース買いに…行ったら…カバン取られてて…」


泣きながら話す女性。


置き引きか…。


「貴重品は…持ってたからよかったけど…カバンの中にネックレスが入ってて…今日パーティー行くのに…私…私‥!」


また大きな声で泣きだした。


「わかった…!わかったから泣くな!いい大人がそんな大きな声で泣くなよ…。」


なるほど…パーティーに出席するからドレス持ってたって訳ね。