「よかったですね。それでは。」
そう言って、歩き始めた。
本当によかった。
あんな物正直いらなかったから助かったわ。
「あっ…あの…!」
女性の声が聞こえ、立ち止まって振り返ると、女性が小走りで俺の方に来た。
「多分いらないと思うんですが…うちの会社のまだ出回ってない新しい商品を……よかったら…これだ!どうぞ。」
カバンの中を漁って、俺に長細い箱を出した。
それを受け取って、ブランドロゴを見てみると…
高級ブランドの物だった。
中を見ると、そのブランドロゴにダイヤモンドをあしらっていて、すごくオシャレな感じになっていた。
「いや…こんな素晴らしい物…いただけませんよ。それに…まだ世に出回ってないならあなたが困るでしょ…。」
俺がそう言うと、女性は首を横に振る。
「いいんです。私そこの社長だし‥それにそんなネックレスよりもこの指輪の方が遥かに大事なんで!これがあったから私はここまで頑張れたと思うし…それを拾ってくれたあなただからこそ…別にあげてもいいと思ったんで!」
何か…断りづらい感じになったな…。
これで俺が返そうとしても…またいいんですって言われそうだし…。
「わかりました。では…いただいておきます。」
そう言うと、女性は笑顔になり、俺に深々と頭を下げた。
俺はネックレスの箱をポケットに入れて、また歩き始めた。
はぁ…。
これどうするかな…。
俺はポケットに入ったネックレスの箱を触って思った。
余計な荷物が無くなったと思ったら…また余計な荷物できてしまった。
そうこう思っていると、目的地のショッピングモールに着いた。
