その後、楓に別れを告げて、俺達は裏扇杜のアジトに戻ってきた。
「久しぶり~!!」
優が中に入って、はしゃいでいた。
確かに久しぶりだ。
ダッダッダッ‥!!
階段を駆け降りる音が聞こえてきた。
降りてきたのは理恵だった。
「薫!優!」
理恵は俺達に抱きついてきた。
「わっ!理恵ちゃん!?」
「あぁ‥!うっとうしい‥。」
「ちょっとは我慢しなさいよ…!心配したんだから!」
理恵は泣きながら言った。
優は俺を見た。
はぁ‥。
「心配かけて‥ごめんな…。」
「理恵ちゃん!心配してくれてありがとう!」
俺達がそう言うと、理恵は涙を拭いて笑った。
「じゃあ…ご飯作るね!」
理恵はキッチンの方に行った。
よく見ると、どこも清潔に保ってある。
あいつ…俺達が居ない間に掃除してたのか…。
「薫…桜さんのこと悔しい?」
優が俺の顔を覗いて言った。
俺はタバコをくわえて火をつけた。
「悔しいで済んだら…どれだけ楽か。」
ソファーに腰かけて、テレビをつけた。
「まぁ…楓や涼風やお前が生きてくれてるだけでマシか。」
優は向かい側に座った。
「そこに薫も入れないと!」
笑って優が言った。
こいつと出会ってもう2年か…。
いくら俺が引き離してもつきまとってくる。
不思議な奴だ。
「次は頑張ろう薫!」
優が拳を出した。
俺も拳を出して重ねた。
すると、優は笑った。
俺はタバコを灰皿に押し当てて消した。
これが…俺の絆ってやつかな…。
昔のことを思い出したからか、珍しいことを思っていた。
番外章~過去の爪痕~
―完―