「何しやがったお前!!」


目の前に居た男が胸ぐらを掴む。


俺は男の顔を掴んで力を入れた。



「人の目の前で胸糞悪い物見せてんじゃねぇぞ?何なら…あの人達の代わりに死んでみるか?あぁ?」


俺は更に力を入れた。


「や…!やめろ…!やめてくれ…!」


俺の手を掴んで叫ぶ。


思いっきり男の腹を蹴った。



「俺の目の前から消えろ。また喧嘩売ってくる時は容赦なく殺す。理解できたら‥羽賀さんって奴に伝えてろ。」


男達はそそくさと逃げていった。


俺は親子に近付いた。


「悪かったな。嫌な物見せて‥。」


「い‥いえ…ありがとうございました。」


ポケットに手を入れて1万円出して、子供に渡した。


子供は虚ろな目で俺を見つめた。


俺は子供の頭を撫でた。



「あ…あの…!」


「いいんだ。この子に何か食べさせてあげな。」



そう言って、俺はまた歩きだした。



―『いいのか?』―


タバコをくわえて火をつけた。


「涼風姉の仕事手伝った時の金がまだ18万は残ってるからいい。」


煙を吐いて言った。



―『お前がいいならいいがな。』―



さて…ここで何をしようか…。


金にも限りがあるし。


さっさと仕事しなくちゃな…。