ここが裏扇杜か…。


俺はゆっくり歩きながら辺りを見回した。


虚ろな目をして地面を見ている子供が居たり、死体もそこら中に転がっている。


ホームレスもさっき見た以上の数が居る。

「胸糞悪い場所だ。何なんだここ…。」


タバコの煙を吐いた。


―『まさに無法地帯。さしずめ…大都会の人間のゴミ箱だな。業の深さがこうさせたんだろう。廃れ方だけなら悪魔界と同じくらいだな。』―



人間のゴミ箱…。


社会的に用済みの人間はここに流れてきて…死んでいくってとこか。


酷い場所だ。


俺は廃車の上に座って煙を吐いた。


―『契約者じゃあろうと‥なかろうと‥人間は皆悪魔を抱えているもんだ。今更分かったことじゃない。だからこそ‥俺のような存在がこの世に放たれてる。』―



確かにね‥。


こいつよりよっぽど人間の方が怖いな。


「おい!お前見ない顔だな!」


2人組の男が俺に近付いてきた。


「ここは羽賀さんのシマだ!ここに居るなら金出しな!」


1人は近くに座っている親子の方に行った。


「何君達!お前らもこんな所に居ちゃダメだろ?殺すぞ?」


親子の方に行った男はその親子に銃を向けた。


「すいません…。もう何日も何も食べてないし…水も飲んでないんです…。どうか…この子供にだけでも…食べ物や水を分けて下さい。」


「そんな物…誰が分けるかよバーカ!」


男は引き金を引こうとする。


「ブラックスライサー。」


悪魔の腕にして鎌を生やし、黒い斬撃を飛ばした。


斬撃は男の銃を持っている手を斬り飛ばした。


「ギャア~!!」


男は手を抑えてうずくまる。