何となく落ち着く場所を求めて歩いていると、裏路地の方に来ていた。


裏路地にはホームレスが溜まっている。



「結局…こういう場所か…。」


歩きながら呟いた。


―『仕方ないさ。あそこに居たらお前も落ち着かないだろ?』―


「まぁな。」



ん?


壁の落書きが目についた。


『← URA SENTO!!DANGER!!』



裏‥扇杜‥?


こっちに行けばそうってことか。


矢印の方をよく見ると、赤いスプレーで境界線のような線が書かれていた。



何だ?


俺はそっちの方に向かった。


境界線を越えようとした瞬間に誰かに肩を掴まれた。


後ろを振り返ると、ホームレスが居た。



「あんた見ない顔だ。何に憧れて来たかは知らないが‥命を投げ出してはダメだ。」


真面目な顔をしてホームレスが俺に言う。


「どういう所なんだ?」


俺はタバコを出して火をつけた。


「…別世界…。あの境界線を超えた瞬間から、力だけが生き残る世界になる。司法をも手を出せない世界…。そういう場所だ。裏扇杜は…。」



―『ハハッ!退屈な場所かと思ったら意外に面白い場所もあるもんだな~!』―


アビルが楽しそうに言った。



裏扇杜…。


司法をも手出しできない力だけの世界…か…。


「確かに…面白い。そっちの方が色々と都合がいいしな。」


「な?!何をバカなことを…!」



俺は境界線を踏み越えた。


ホームレスは唖然としていた。


「こんな落書きのような境界線に何の意味があるんだ?少なくとも…今日来た俺には何の意味も成さない。わざわざありがとな。」



そう言って、俺は裏扇杜の中に入った。