―扇杜―



俺は1年振りに山から降りて、扇杜に着いた。


ここが扇杜‥。


さすが大都会。


ビルは高いし、人も多い。



こんな大勢の人見るの生まれて初めてだ。


だが、来たはいいけど…



「何から始めればいいのやら。」


俺はタバコを出して火をつけた。


すると、すれ違う人は俺の手元を見る。



タバコか…。


俺は煙を吸って、道路に落として踏み消した。



何だか落ち着かない…な…。


華やかな大都会。



桜にも見せてあげたかった。



きっと…はしゃぐんだろうな。


そして、俺の手を引いて歩くんだ。



あの純粋な笑顔を見せながら……。



―『思い出か?また昔に戻るか?』―


アビルは笑いながら言った。


「お前には…わからないさ…」



俺は伸びをして、とりあえず歩き始めた。