それから風の悪魔の契約者…涼風さんとの特訓が始まった。



「ほら!休まない!!早く登んなさい!」


山の頂上の方から涼風さんが叫ぶ。


俺は下の方から休みなく全力疾走して登っていく。



そして、涼風さんの方に着いた。



「それくらいで疲れてどうすんの?もう1回降りて登ってきなさい!」


涼風さんに言われて、俺はまた山道を降りていく。



足が…。



足は限界がきているのか、小刻みに震えていた。



「強くなるのは簡単じゃないのよ~?強くなりたきゃ上がってきなさ~い!」


涼風さんは少し笑って叫んだ。


「あの人…何か…楽しんでない?」


俺は息を整えて言った。


―『楽しんでるな~…。』―




――――――――――――


ある日は……。


「私これから町まで行ってくるから。薫の服も買ってきてあげるからね!」


涼風さんはコートを着て言った。


「あれ?じゃあ今日は何もしないんですか?」


俺はマメができて傷だらけの手をテーピングしながら言った。


「ん?今日は私の友達が相手してくれるわよ。」


そう言って、口笛を吹いた。


ガサッ…ガサッ…ガサッ…。


何かの足音が聞こえてくる。


しばらくすると、大きな傷だらけの猪が出てきた。


「少し気性が荒いけど頑張ってね!行ってきま~す!!」


「えっ?!ちょっ‥涼風さん‥!?」



涼風さんがその場から離れると、猪は突進してきた。


俺は転がって避けて、猪に殴りかかった。


だがそのまますぐに振り返って猪の突進をくらってしまった。



「痛っ…!」


猪は地面を掘って助走をつけている。


―『猪突猛進…。猪と猪が戦ってるみたいだな。』―


デスアビルが笑って言った。


「いや‥理屈は分かるけど動きが意外に早い!」


それからずっと猪と戦っていた。