始末屋



―「待ってよ!!他に方法はないの?!」―



『無いな。約束は守ってやるからよ!』



ちくしょう…!


騙されたのか…。



悪魔は鎌を振りかぶる。


あれ…?


桜の顔は元に戻っていた。


そして、こっちを見て微笑む。



―「止めろ…!」―


『もう遅い!!』


―「止めろって言ってんのが聞こえないのかよ!!俺の体勝手に使ってるなら言うことくらい聞け!!!」―



『なっ…?!』



気が付くと俺は自分の体に戻った。



―『この俺様を…制御しやがった…。こんな小僧が…?』―


デスアビルの声が頭の中に響く。


「桜…!」


俺は桜の側に座った。


「…バカ!あの悪魔が…!薫の中の悪魔が…今の内に私を殺したら…!私が薫を…薫のことを…愛してる内に死ねたのに…!」

桜が涙を流しながら叫んだ。


「…何言ってんの…?桜も…制御したから…出てきてるんでしょ…?桜は…元に戻ったんでしょ…?」


俺がそう言うと、桜は首を横に振った。


「薫の中の…悪魔さん…。もう少しだけ…待ってください…!死ぬ覚悟は…できてますから…!」


俺の服を掴んで桜が泣きながら言った。



―『…用が済んだら言え…。』―


デスアビルがそう言った。


「何で…?今桜出てるじゃん…。桜でしょ…?」


泣きそうになるのを必死にこらえて、桜に言った。


「今の私は…何とか無理矢理出てるの…。私がこうしてられるのも時間の問題…。

今の状態の私は…外に出ちゃいけない…。

きっと人をいっぱい殺してしまう…。

だから…私は…ここで…お別れよ…。」



桜の言葉を聞いて、俺は涙を流した。


桜はお腹を抑えて立ち上がり、俺を抱きしめた。