始末屋



体が闇に包まれ、奥底に吸い込まれていく感覚がした。


―『お前はそこでお寝んねしてな…ご主人様。』―




気が付けば浮いていた体は地上に戻っていた。


だが、手を動かしてないのに手が動いている。



『俺様の名はデスアビル。さっきも言った通り破壊の悪魔王だ。小僧…貴様は?』


口が勝手に動く…。


まさか…さっきの悪魔が体を乗っ取ってる…?



―「荒西 薫…。」―


俺がそう言うが口は動かない。


『薫か…。よろしくな…ご主人様。』


そう言ってデスアビルは大きな鎌を出した。


『信じられないわ。そんな弱々しい奴が正規契約できるなんて思わなかったわ』


桜はニヤリと笑う。


『奴はデスアビス。双子の妹だ。糞生意気にもこの俺様を超えようとしているらしいよ?』


デス…アビス…。


『さぁ、お喋りはこの辺にしとこうか。続きを始めようかカス。』


『カスはどちらかしら?』


悪魔達はまた戦い始めた。



これ…他の人から見たら…


桜と俺が殺し合いをしているように映るんだ…。



でも…桜は俺が…救ってみせる!





ガキンッ…!!


デスアビルの攻撃がデスアビスの持っている鎌を宙に上げた。



その隙にデスアビルは腹を蹴った。



桜…!!


デスアビルは髪の毛を掴んで地面に倒し、お腹を蹴り続ける。



『この俺様に勝てると思ってたのかよ!とんだ勘違い女だな?カスが!!』


―「止めろ!!桜を…それ以上傷つけないでくれよ!早く…桜を元に戻してよ!!」―



そう言うと、俺の口元が緩んだ気がした。


『元に戻す…。そんな器用なことできるかよ!』


デスアビルが放った言葉に衝撃が走った。


―「救って…くれるんじゃ…。」―



『あぁ?救ってやるよ。この女の魂はな…。だが…悪魔は肉体が死なないと引き剥がされない。殺すしか方法はないんだよ。

お前はそこで見てろ。
女を救う様子をなぁ?』


そう言って、鎌を桜の首元に置いた。