始末屋


―『辛かったな~…?お前は幼い頃に捨てられ…蔑まれ…自分の誕生日も名前も存在も…お前は自分で理解してないんだろ?』―



違う!

俺は荒西…薫…。


誕生日は10月10日…。


ちゃんと分かってる…。


ちゃんと存在してるんだ…!


蔑まれてもない…。



―『お前の心の奥底はそう思ってない。

怒りに震え…お前を捨てた親も…今まで蔑んできた奴らも…この世界も…ぶっ壊してやりたいと願ってるんだよ。

そして…あの女に入ってる奴も殺したいんだよ。

それも…ただ殺すだけじゃない。
苦しみを与えて…ジワリジワリと殺していく。

いいね~!
意外に資質あるよお前。
憎しみの塊みたいな奴だな!』―



憎しみなんかない…。


俺は…桜を救いたいだけ!!



―『全てを認めろよ…。お前は自分が優しい人間だと思ってるがそれは違う。

お前のは優しさじゃない。
呆れだ。
お前はこの世界に呆れている。
周りの人間は…綺麗に着飾った人形くらいにしか思ってないだろ?
だからお前は誰にでも…
同じ顔をしているんだよ!』―


悪魔は俺の胸に手を当てた。


―『自分の汚い部分から目を背けるなよ。それを含めてお前なんだよ小僧。

そしてそれを受け入れろ。
それを肯定しろ。
そうすれば…俺様の力はお前の物となるんだよ!』―



汚い部分を…受け入れる…。


そうすれば…桜を…。



―『救える力どころか…お前に刃向かう奴…お前を受け入れない世界…

何でも壊せるさ。

俺様を受け入れろ。
この破壊の悪魔王 デスアビル様を!!』―



確かに…俺は……自分の事を見放していく世界が嫌いだった…。


自分の存在が分からなかった…。


でも……桜が居たから……。



その桜を傷つける奴は…許さない…!



「全てを受け入れるよ…。この体に悪魔を背負うよ!!」



―『それで合格だ!小僧!』―