―その日の夜―







ドンッ…ドンッ…ドンッ……


ドンッ…ドンッ…ドンッ……


ドンッ…ドンッ…ドンッ……




「ん……ん…?…何だろう…。」


奇妙な音で目を覚ました。


ドアを叩いてる音が家中に響き渡っている。


その音は一定のリズムを保って鳴り続けていた。



ドンッ…ドンッ…ドンッ……。


ドンッ…ドンッ…ドンッ……。


気持ち悪いな~…。



俺はそう思いながら、下に降りて玄関に行った。


すると…ドアの前から、ドアを叩く音の他にボソボソと何か言っている声が聞こえた。


「すいません。どなたですか?」



問いかけるも反応はなく、そのボソボソと言っている声しか聞こえなかった。


恐怖を感じつつも、ドアノブに手をかけて恐る恐る開けてみた。



ドンッ…!


何かに当たり、音が一瞬強くなった。


手を離しそうになったが何とかこらえて、ドアの前に居る人を確認した。


自分の目線の先には誰も居ない。


だが、ドアを叩く音は手に振動で伝わり続ける。



下を見ると、座り込んだ沙織がデコから血を流しながらドアに頭をぶつけていた。



「沙織?!!ど…どうしたの?!」


俺はすぐに座って沙織に話しかけるも、ブツブツと何か言っているだけだった。



その言葉に耳を傾けて聞いてみる。


「ごめんなさい………

洞窟………ると………

悪…魔…い……

慎司………て………

桜を………にげ………

…ごめん……なさい……」



ごめんなさい

洞窟

悪魔

慎司



ごめんなさい



所々が聞こえてない…。


何があったんだろう……。



「……洞窟に……入ったの?」


俺がそう聞くと、コクリと頷いた。


さっき言ってた言葉に…桜も入ってた…。


まさか…



本当に悪魔が……居た……?