「昔からの言い伝えみたいなものよ。でも、おもしろ半分で行っちゃダメよ?」
米婆はそう言って、戒さんの方に行った。
「やっぱり…洞窟には何かあるな。」
慎司はそう言って考え始めた。
「慎司…バカなこと考えてないよね…?」
俺が慎司に言うと、慎司は俺を見た。
「別に!俺そろそろ帰るわ!」
そう言って帰り始めた。
「ちょっと慎司!」
慎司はヒラヒラと手を振った。
「私も帰るね!勉強しなきゃだし!」
沙織も帰っていった。
大丈夫かな…慎司…。
俺は少し不安な気持ちを抱えた。
すると、桜は俺の手を握る。
「大丈夫よ!慎司もさすがにわかってるよ!」
桜は笑顔でそう言った。
「桜には何でもお見通しだね。」
「当たり前よ!何年一緒に居ると思ってんの?」
桜はそう言って近くに置いてあるベンチに座った。
俺も隣に座る。
「薫は心配性で‥臆病で‥少し頼りがいもないけど…。誰よりも優しいのもちゃんと知ってるから!」
桜は俺の手を握って言った。
「ありがとう!俺は‥俺を理解してくれる桜が好き。…大好きだよ…。」
俺がそう言うと、桜は俺に抱きついた。
「薫?もし私が道に反れたり…ダメになった時は…薫が私を守ってね?」
俺も桜を抱きしめた。
「うん…。約束する。」
幸せな日々は長くは続かない。
いつか終わりが来る。
永遠の幸せなんか生きている限り一生手に入れることはできない。
それでもすがりつく。
光を手に入れる為に。
でもそれを閉ざすのはいつも
漆黒の闇。
この幸せは…崩壊の兆しだったんだ。