「―…西…!荒西!あ~ら~に~し~!!!」
「は…はい!?」
呼ばれた気がして立ち上がると、そこは教室で皆が俺を見てクスクス笑っていた。
「荒西~。ヨダレ垂らす程気持ちよ~く寝てたのか?」
先生がそう言ったのを聞いて、慌てて制服の袖で拭いた。
「荒西…ここ解いてみろ!」
黒板をじっと見ると数学の問題が書いてあった。
それをノートに写して、答えを出した。
「えと……x=5、y=3です!」
「正解だ。でも…できるからって居眠りはよくないぞ?」
先生がそう言うと、教室は笑い声に包まれた。
俺は顔が赤くなるのを感じて、すぐに席に座った。
居眠りなんかしたの久しぶりだな~…。
昨日遅くまで勉強してたからかな。
筆箱のチャックについたお守りを見た。
桜も頑張ってるんだから…俺も頑張らないとな。
そう思って授業を受けた。
授業が終わって10分休みになると、慎司が俺の席に来た。
「俺ならまだしも薫が居眠りは珍しいな~!」
慎司は笑いながら言った。
「俺ならまだしもって‥。慎司もちゃんと受験勉強しないともう10月だよ?」
俺は次の授業の準備をしながら言う。
「あっ!今日どうすんの?皆で過ごす?それとも‥桜と2人きりでか?」
ニヤニヤしながら慎司が聞く。
「今日って何かあったっけ?」
慎司に聞くと、驚いた表情をした。
「そんなこと言う奴は桜と2人きりで過ごしなさい!俺達はいつでも大丈夫だし!」
変な慎司‥。
遊ぶ約束でもしてたかな?
