死に物狂いで洞窟の中を走っていった。



俺も意識が遠のく…。


力使いすぎちゃったな…。



涼風さんの肩からはかなりの血が流れている。


薫と楓さんの血も俺を染める。



「待っててね…!


すぐに手当てするから!!
皆…死んじゃ嫌だからね!!」



俺が戦わずにすぐに逃げたら…



涼風さんは腕を失わずに済んだのかもしれない…。


楓さんも傷つかなかったかもしれない…。


……全部……俺のせいだ……。



俺が悪いんだ……。




そんなことを思いながら洞窟を走っていくと、ついに洞窟から抜け出せた。



「はぁ…はぁ…はぁ…病院…連れて行かないと…!」



俺が下を向いて息を整えていると、大勢の足音が聞こえてきた。


顔を上げると人がいっぱい居た。



「…よそ者か?なぜこんな所に…。」


真ん中に居たお爺さんが俺に来た。


「すいません…。助けて下さい…。俺はどうなってもいいから…!この3人だけでも助けてあげて下さい…!!」



俺は頭を下げた。


「その子は……薫……?」


若い人の声が聞こえてきた。


「ダメだ…。薫は悪魔の子。助けるなどできん!」



お爺さんの声が聞こえた。


俺は頭を上げてお爺さんを睨みつけた。



「目の前で死にかけた人が居るんだよ!!悪魔とか天使とか関係ないでしょ!?皆変わらない人なんだよ!!薫を悪魔って差別するあんた達の方が悪魔だよ!!」


俺が声を荒げると村人はたじろいだ。


「お願いします…もう目の前で大切な人が死ぬのなんて…見たくないんだ…」



そう言うと、お爺さんは俺の肩に手を置いた。



「君に負けたわ…。皆!この人達を診療所へ運びなさい!!」


お爺さんがそう言うと、村人は薫達を担いでいった。


「ありがとう…ござい…ま…す」



俺はそこで意識が途切れた。





第4章~黒き桜の舞~



―完―