『まだ何かする気?私がこのまま逃がすと思ってるの?』
デスアビスは鎌をこっちに向ける。
「…全てを吹き飛ばす風よ…。その禍々しき風の力で…全てを滅したまえ。
出よ…寿限無(じゅげむ)!」
突風が周りに発生して、俺は地面を踏みしめた。
―『あぁ~~い!呼んだ~?涼風姉ちゃ~ん?』―
風を纏った少し太った1つ目の悪魔が出てきた。
「これは…?」
「風の悪魔の精霊…寿限無よ。
寿限無!あいつを吹き飛ばしなさい!」
涼風さんがそう言うと寿限無はこっちを見る。
―『涼風姉ちゃんの頼みなら…面倒だけどしょうがないな~。』―
そう言うと、寿限無は空気を大きく吸い込む。
洞窟が地鳴りし始める程の量の吸い込み方だ。
―『ぶふぅ~~~~~~~!!!』―
強烈な突風がデスアビスに吹いた。
後ろに居る俺も飛ばされそうだった。
「早く行くよ!!」
涼風さんに従って俺は2人を担いだまま出口に向かう。
すると‥
グサッ…!
「ギャァ~~~!!」
デスアビスは吹き飛ばされながら涼風さんの肩に魂喰らいの鎌を刺して、飛ばされるのを防いでいた。
「涼風さん!!」
俺は片腕で2人を抱えて、涼風さんの手を掴んだ。
手を離すと……涼風さんも吹き飛ばされる…。
涼風さんを引っ張ってあいつに攻撃したら…腕が…。
でもこの突風を止めさせると…逃げるのは難しい…。
どうしたら…!
『あなた達の顔…忘れないわ…!今回は逃げてあげる…!だけど…代償は払ってもらうわよ…?
あなたの腕1本もらっていくわ!!』
魂喰らいの鎌を振り下ろすと、涼風さんの肩から腕を斬った。
「キャアァァァ~~~!!」
デスアビスはそのまま吹き飛ばされた。
涼風さんは意識を無くして俺にもたれかかる。
ちくしょう‥。
「ちくしょ~~~う!!!」
俺は涼風さんも担いで走って洞窟から抜け出した。