斉藤はエントランスホールの天井に画鋲を貼付けた風船を無数に浮かべ、その下にも画鋲を貼付け少量の液体を入れた物を眼を凝らさなければ見えない程極細のナイロンテクスで止め、風船同士が接して割れない様に慎重に中空に浮かべて行く。

 そして、斉藤はテクスに仕掛けをしホールを後にし再び書庫の隠し扉から姿を消して行く。

 〈これで準備は出来た、後は奴らを誘い込むだけ……クククッ〉

 そして、斉藤は携帯電話を取り出し何やら操作をしだした。