床のきしむ音が屋敷の中に鳴り響き、野犬の耳に届かせる。

 野犬は、耳をピクリと動かし二階を見上げて来た。

 そして、野犬と視線が交じり合い、互いを確認すると同時に野犬の顔はみるみる豹変し、牙を剥き出しにして唸り声を上げながら前傾姿勢で身を構える。

 「ひっ……」

 美由紀が、悲鳴を上げ踵を返し逃げ出すのと同時に、野犬が跳ねる様に階段を駆け上がって行く。

 それを見たもう一匹も釣られて駆け上がり迫って来る。

 美由紀は、慌てて部屋に入り鍵を掛けた。

 このままでは危ない……。

 そう思い辺りを見回し思考を巡らせる。

 そして美由紀の目は、カーテンと窓に止まった。

 (よしっ、やってやろう)