良平は、必死にドアを引きながら野犬の頭を蹴り付ける。

 ドカッドカッゴスッ……

 「畜生……どっか行けよ」

 …バキッガツッドガッ……

 「ひぃーーーっ……」

 もう一匹は、激しくドアに体当たりしては唸り、吠えまくっている。

 ドカンドカンガリガリッ……

 〈ガルルルッ……ワンワン〉

 良平は、直ぐ近くの棚に花瓶が置いて有るのを見付け、片手でドアを引きながらその花瓶を掴み野犬の頭に全力で振り下ろした。

 ガシャーーーン……

 〈ギャイーンギャイーン〉

 花瓶が野犬の頭で砕け散るのと同時に、野犬は悲鳴にも似た鳴き声を上げて身を引いた。

 良平は、すかさずドアを閉め何とか難を逃れた。

 (フゥーーッ助かった……)