良平がそう思うのと同時に、街灯に照らされて2匹の野犬の姿が現れた。

 〈ヴヴヴーーーッ……〉

 野犬は、牙を剥き出しにして凄い勢いで迫っている。

 「ひっ……ひぃーーっ」

 良平は、慌てて踵を返し走り出した。

 〈ガルルルルーーーッ〉
 〈グルルルーーーッ〉

 野犬は、もう直ぐそこまで迫って来ており、今にも飛び掛からんとしている。

 良平は、直ぐ近くの屋敷の扉を開けて慌てて中へ飛び込みドアを閉め様としたが、間に合わず野犬の首が飛び込んで来た。

 〈ガルルルッグルルルッ〉

 野犬は、ドアと壁の間から顔を押し込み牙を剥いて唸り声を上げている。

 野犬の勢いに、ドアは今にもこじ開けられそうにガタガタと振動している。