その頃、竜二はまだ生きていた。

 竜二はどす黒く変色し、壊死の始まった脚を引きずりながら森林を歩いていた。

 竜二は、何故俺は生きているんだろうかと思っていた。

 時間までに、時計塔に集まらなければ殺すと奴は言っていた筈だ。

 竜二がそう考えている時。

 …ヒュッ……ドスッ………

 一瞬空気を裂く様な音がするのと同時に、竜二の右足、調度野犬に噛まれた傷口付近に衝撃が走った。

 「ゔっ……」

 竜二は、一瞬呻き声を上げ右足首付近を見た、するとそこには矢が刺さっていた。

 傷口から滲み出る鮮血。

 竜二は、まだ何が起こったのか理解出来ないでいる。

 ヒヒヒーーーン……ブルルルッ…

 そして、後ろから馬の鳴き声が聞こえて来た……。