「何言ってるんだよ……」
 「良いから行け……」

 勤は竜二の覚悟を知り、涙を呑んでその場を離れた。

 「畜生……畜生……」

 勤は、ずっとそう言いながら森林を歩き続けていた。

 間もなくあの時を知らせる鐘が鳴る時間だ。

 そろそろ時計塔へ行かなければ。

 勤は、竜二の事が気掛かりで為らなかったが、独り時計塔へ向かった。

 時計塔の前には、もう殆どのメンバーが集まっていた。

 「皆、大丈夫だった?」
 「大丈夫、勤は大丈夫か?」
 「俺は大丈夫だけど……」
 「竜二が……」

 勤は、皆に竜二が野犬に襲われた事、そしてその後の事を話した。

 皆は仕方無かったんだ、お前は悪くない、そう言ってくれたが勤の心は烈しく痛んでいた。