勤は、慌てて飛びのき何とかかわしたが、竜二が襲われてしまった。

 野犬は、竜二の右足に唸りながら噛み付き、身体と首を激しく動かして足の肉を喰いちぎろうとしている。

 「ギヤーーーッ……」
 〈ヴーーッガルルルルッ〉
 「助けてくれーーーっ」

 悲鳴を上げ助けを求める竜二に容赦無く喰らいつく野犬を前に、勤は怯えパニックに為り何をして良いか解らないでいる。

 竜二の足からは、鮮血が溢れ出し辺りを赤く染める。

 「ギヤーーーーーッ」
 〈グルルルッ〉

 やっとの思いで我に返った勤は、近くに落ちていた太い木の枝を拾い上げ、野犬を殴り付けた。

 ドカッバキッドカッ………

 何度も何度も殴り付けている中に野犬は…キャイーーン……と鳴き声を上げ森林奥へと逃げて行った。