小田祥子は洞窟を見付、一人で隠れていた。

 「7時迄、後6時間……」

 そうボソリと呟く。

 祥子が身を潜めていると……

 ……カラカラーーーン………

 入口の方から、石が転がる様な音がした。

 洞窟奥の、岩の割れ目からそっと覗くと、入口前にデュラハンがいた。

 頭部の無い馬の首だけが、こちらを見ている。

 そしてデュラハンは、馬に身を委ねる様にして、馬の進むままに洞窟内へ入って来た。

 馬が、一歩進む事に……

 カツーーン…カツーーン……

 と音が響き渡る。

 祥子は、岩陰に小さく為って 身を隠していた。

 段々と近付いて来る馬の足音と、鎧が擦れてぶつかり合い、カシャン…カシャン……と鳴る音が洞窟内に響く。