伸一は、その甘い香を嗅いでいる中に、激しい眠気に襲われ出した。

 段々と身体の力が抜け落ち、遂には眠り込んでしまった。

 どの位眠っていただろうか、ふと目覚めると、伸一は大きな鉄板の上に寝転がっていた。

 身体は痺れているらしく、動かす事は出来ない、首も余り動かせず、見えるのは目と首を少し動かして見える範囲だけだ。

 大きな鉄板、周りを囲むドーム型の壁、此処はいったい何処なのだろうか。

 辺りからは、何かが焦げた様な香が漂ってくる。

 そして……。

 ……カツンカツンカツンカツン……

 足音が段々こちらへ近付いて来るのが聞こえる。

 ………カツン……ジャリッ……

 そして、その足音は伸一の頭の近くで止まった。