「ひいーーーーーっ」

 仁は、慌てて首にぶら下げられたそれを投げ捨て、後へひっくり返る様に倒れた。

 目の前には、耳からロープを通され、鈴なり為った首が転がっている。

 仁は、這う様にしてその場を離れて逃げ出した。

 そして、近くの屋敷へと身を隠した。

 その頃、鳥飼伸一は森林を1人でさ迷っていた。

 どの位さ迷っただろうか。

 ふらふらとさ迷い歩く中に、伸一はまた街の近く迄戻って来ていた。

 その頃には、日も暮れて辺りは暗く為っていた。

 伸一の居る場所からは、時計塔が見えており、時刻は19時を回ったところだった。

 「後6時間で1日……」
 「まだ、19日と6時間も…」

 伸一は、そうボソリと言った時に、近くから漂って来る甘い香を感じた。