皆が、思い思いに散って行き暫く経った時。

 ゴーンゴーンゴーン………

 遂に始まりの鐘が鳴った。

 藤田舞は、街の物陰に隠れていた。

 壁の陰から、街の中央広場を眺めている。

 この時、後ろからデュラハンが忍び寄っているのにも気付かず、舞の目はずっと広場を向いていた。

 その頃、品川仁は舞が隠れている屋敷の屋上に居て、それに気付いた。

 仁は迷った。

 舞を助けたい、しかし下手な事をすれば、自分が狙われるかも知れない。

 仁は、迷ったあげく近くに置いてあった木箱を持ち上げ…。

 「舞、後ろだーーーーっ」
 「逃げろーーーーっ」

 と言いながら、デュラハン目掛けて木箱を投げ付けた……。