光一はホッとするのと同時に喉の渇きを覚えた。

 光一はぐちゃぐちゃに汚れた顔のままよろよろと起き上がり暗く不気味に広がる森を再度歩き出した。

 暫く歩くと月明かりに照らされて目の前に水溜まりが見えて来た。

 光一はその水溜まりに歩み寄りゆっくりと屈み込み、水溜まりに口を付け啜りだした。

 ズズッ

   ズズズズッ

 そして喉の渇きを癒し終え、汚れた顔をバシャバシャと洗い、ふーーっと深く息を付きその場に座り込んだ。

 その時、遠くの方からあの音が響いて来た。

 時を告げる鐘の音だ。