徐々に杭が削れて行き遂にその時が来た。

 杭は、小さくポキッと言う音を出して折れた。

 「真也…大丈夫か?」

 光一が心配そうに言う。

 尚美も心配そうに真也を見詰めている。

 「だ…大丈夫だ……」

 「済まない……」

 真也は、そう言ってゆっくりと身体を起こした。

 「ごめんね…私のせいでこんな……」

 眼に涙を浮かべながら、尚美は何度も真也にごめんねと謝り続けている。

 「気にするな、この位どうって事ないさ」

 真也は、そう言って尚美の肩を叩きニコリと笑った。

 「ありがとう……」

 尚美の声がそう小さく聞こえた。