剛と美由紀は、淳が目の前で微塵に刻まれて行くのをガタガタと震えながら見ていた。

 歯と歯がぶつかり合い、カチカチと音がする。

 「ギヤーーーーーッ………」

 淳の悲鳴がする中、美由紀が言った。

 「いっ…今のうちに逃げましょう……」

 剛は頷き、美由紀の手を取った。

 そして、剛と美由紀はヨタヨタと起き上がり、逃げ出した。

 淳を見殺しにした罪悪感はあった。

 しかし逃げなければ、自分達も殺されていた。

 仕方なかった………。

 淳も、自分が助かる為に自分達を突き飛ばし、逃げたではないか……。

 そう思い、2人は無理矢理自分達を納得させた。

 「ヴギヤーーーーーッ……」

 遠くからは、まだ淳の悲鳴が聞こえて来る。