時が13時を告げる頃、美紀と尚美は息を切らしながらひたすら森の中を走っていた。

 後ろから地を蹴り追って来る野犬の足音が段々と迫って来ている。

 このままでは追い付かれるのも時間の問題だが、何度も木の根やシダ、ぬかるみに足を取られ転びそうに為りながらも懸命に走っていた。

 「尚美早く来て……追い付かれちゃうよ」
 「美紀待って……」

 と……その時尚美がぬかるみに足を取られ転んでしまった。

 …ドシャッ………

 ぬかるみの中へ飛び込み様に転倒する尚美。

 「尚美大丈夫」

 美紀はそう言って尚美の元へ駆け寄り、尚美を助け起こす。

 ザザッザザッザザッ………

 落ち葉を踏み締め駆けてくる野犬の足音……。