時計塔の周りの霧が徐々に薄れて行き、時計塔前の広場がはっきりと見え出した。

 広場の中央には、大きな天使像と悪魔像とが、背中合わせに立ち、その中央から水が噴き出している大きな噴水が姿を現した。

 その噴水の周りには、美しい彫刻の施された20本の細長い石柱が立っている。

 そして、その石柱の1本が、ポワーーッと青白い淡い光を放ち出した。

 それと同時に、ズタズタに為った隆の姿が浮かび上がる。

 その光景を、健物の中や、物陰から数名の者達が怯えながら見ている。

 死を告げる柱とでも言えば良いのだろうか………。

 静寂の中、その柱は隆の死を告げ、怪しい光を放ち続ける。

 そして、街に冷たい風が吹き抜けて行った。