女は不気味に微笑みながらぼそりと呟く。

 〈どんな手を使っててでも、邪魔する者は殺す……〉

 〈こ・ろ・す……ウフフッ〉
 〈さぁ、どうやって……〉

 狙われているとも知らない男は、無防備に煙草を吸いながら夜の街に立っていた。

 暗く静まり返った人気の無い公園の砂場の前で男は独りで呟いていた。

 「早く草野静恵を見付けなければ……」
 「しかし、手掛かりは無し〉
 「どうすれば良いんだ……〉

 暫く独り考えに耽っていると一人の老婆が手押し車を押しながら公園に入って来た。

 こんな遅くにバーサン一人で散歩か、ご苦労だな。

 そう思いながら砂場の方へ向き直り、砂場を眺めていると。

 ドスッ……
 ……ズブズブッ…………

 男の胸元から鮮血と共に刃物が飛び出して来た。

 刃物は男の心臓を捕らえ一撃の元に絶命させた。

 そして翌朝、その男の惨殺体が公園で見付かった。

 男の死体は、臼の中に入れられており、胴体部分がミンチの様にグチャグチャに潰れ、臼の中は肉片と血の海と化し、鮮血に塗れた手足と頭部のみが臼の外へダラリと出ていた。

 そして題名の書かれた紙がその手に、握らされていた。

 『題名:お正月の餅つき風景』