警察は娘を轢き殺されたにも関わらずこの様なメッセージを残した草野静恵の精神状態を把握すべく、以前草野静恵のカウンセリングを担当した医師に連絡を取り話しを聴く事にした。

 その結果草野静恵は現実を認めたくないが為に、入院当時は錯乱行動が激しく、暴れたり、奇声を上げたりの他に初対面の者に対しても愛してるや、私の愛しい人だのと言い、相手に言い寄る様なそぶりも見せていた事が解った。

 恐らく何らかのきっかけで症状が再発して、その眼が正春に向けられたのだろうとの事だった。

 精神の錯乱により、我が娘を殺した男を愛しく想う女……。

 そして、その女の娘を轢き殺し逃げた男……。

 その二つの歪み、ズレてしまった精神が生み出した連続猟奇殺人事件。

 何ともやり切れない事件だが早く2人を捕まえなければ犠牲者が更に増える事に為る。

 いったい草野静恵と真田正春は何処へ消えてしまったのだろうか。

 轢き逃げ犯と化した真田正春と、もはやただの殺人鬼と化してしまった女の大捜査が始まった。

 そして、その頃女は次の獲物を既に見つけており、付け狙っていた。

 〈ウヒヒヒッ……アヒャッ〉
 〈殺して上げる……〉