「で?」 ベンチに腰を降ろした瞬間、黒崎が突拍子もなく尋ねてきた。 「で……って」 「なんで泣いてんだよ、おまえ」 止まった、はずだったのに。 やっぱりどれだけ明るく振る舞おうとしたって、あたしはケンのことを想ってしまう。 愛してる。 愛してるんだよ……ケン。 せっかく忘れようと努めてたのに、黒崎が思い出させてしまった。 「黒崎のバカァ……」 「え!?」 タバコの箱を弄んでいた黒崎に八つ当たりすると、彼は目を丸くした。