だから、職業上未成年だと思ったヤツには声かけなきゃならねえんだ、
そう言う黒崎の顔は、明らかに面倒くさがっていた。
「先生ってさ、どこの高校の先生なの?」
黒崎は、「一高」と呟くように答えた。
あたしは、自分の顔が引きつってしまうのが分かった。
だって、……一高はケンが通ってる高校だから。
ケンの制服姿が、あたしは一番好きだったんだ。
「どうした?」
黒崎の手がそっとあたしの頬に触れて、あたしは自分が泣いていることに気づいた。
「んん……なんでもない」
なんでもなくないだろ、
黒崎はそう言うと、場所を変えようとあたしの手をひいて立ち上がった。
