次の日…


「毎日のように会うな。貧血ひどいの?」


俺も少しは喋るようになり、会話には花が咲いていた。


「私?んー夏はとくに。まぁそんな倒れるわけじゃないよ」

「そうか…」

「心配してくれたの?嬉しい。ありがとう」

「…どういたしまして」



耳まで真っ赤になる。

昨日から話しててわかった事は、村上という女はまるで人の心を読んでいるように話しかけてくる。

村上の顔をガン見していると…

ワイシャツの肩から少し見える痣が目に入った。



「村上…お前、その痣どうしたんだよ?」

「えっ?!あっ…これ………昨日、階段から落ちたの。やだなぁ…恥ずかしい…」

「大丈夫かよ…すげぇ青い」

「大丈夫!心配性だなぁ…」



話してはいけない事だったかもしれない…
そのあとは沈黙が走った。



「「……」」



今さらになって後悔した。
話さなければよかった。
つい気になったものの、気まずくなるのは避けたかった。
なんか違う話しを…



「…どうしたの?拓海くん…なんで泣きそうな顔なの?」

「…なんでもない。つか…泣いてない。」

「…本当に心配性で意地っ張りなんだなぁ…」



そう言った声が、とてつもなく嬉しそうで……同時にとてつもなく悲しそうに聞こえた。